SINSEI BUTSURYU

COLUMN

コラム

法改正

【2026年版】改善基準告示の特例をおさらい

分割休息・フェリー・2人乗務・隔日勤務

INTRODUCTION

はじめに — 改正から2年たった今、あらためて

トラック運転者の改善基準告示が改正され、2024年4月に適用が始まってから2年がたちました。 拘束時間の短縮や、休息期間の引き上げ(継続8時間 → 継続11時間を基本・9時間を下回らない)は、 すっかり知られるようになりました。

一方で、特例の条件は今でも誤解されやすいところです。当社は事業者間遠隔点呼で、毎晩さまざまな運送会社さまの点呼を行っていますが、 その記録を見ていると、次のような並びにたびたび出会います。

TENKO RECORD

12:00乗務後点呼
13:30乗務前点呼

1時間半ほど休んで、もう一度乗務前点呼をしている形です。 「乗務後点呼と乗務前点呼で区切れば、その間は休息になる」「分割休息として扱える」 と考えて記録されているのかもしれません。結論から言うと、これは休息期間にはなりません。

本コラムでは、改善基準告示の基本と、分割休息・フェリー・2人乗務・隔日勤務などの特例を、 2026年時点であらためて整理します。

BASICS

1. 基本のおさらい

まずは原則です。特例は、すべてこの原則からの「例外」として位置づけられています。

項目基準
1年の拘束時間3,300時間以内(労使協定により3,400時間まで)
1か月の拘束時間284時間以内(労使協定により310時間まで・年6か月まで)
1日の拘束時間13時間以内(上限15時間。14時間超は週2回までが目安)
1日の休息期間継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない
運転時間2日平均で1日9時間以内、2週平均で1週44時間以内
連続運転時間4時間以内(運転の中断時には原則として休憩。1回おおむね連続10分以上・合計30分以上)

TWO SIDES OF A DAY

1日(24時間)=拘束時間+休息期間

覚えておきたいのは、拘束時間と休息期間は表裏の関係だという点です。1日(24時間)のうち、拘束時間でない時間が休息期間です。 休息期間が短くなれば、その分だけ拘束時間が長くなります。

SPLIT REST

2. 分割休息 — 「1回3時間以上」と「合計時間」の両方が要る

業務の必要上、勤務の終了後に継続9時間以上の休息期間を与えることが困難な場合に限り、休息期間を分割して与えることが認められています。

条件内容
1回の長さ分割した休息は1回3時間以上
合計時間2分割なら合計10時間以上、3分割なら合計12時間以上
3分割3分割が連続しないよう努める
回数の上限一定期間(1か月程度)における全勤務回数の2分の1が限度

改正前は「1回4時間以上・合計10時間以上・2か月程度で全勤務回数の2分の1まで」でした。 1回の長さは短くなった一方で、期間は1か月程度に縮まっています。

NOT REST
COMMON MISTAKE

よくある誤解 — 点呼を入れ直しても休息にはならない

冒頭の記録を、1日の流れで見てみます(数字は説明用の例です)。

時刻点呼
6:00乗務前点呼
12:00乗務後点呼
13:30乗務前点呼
21:00乗務後点呼

12:00 – 13:30

1時間半は「1回3時間以上」を満たさない

12:00〜13:30の1時間半は、「1回3時間以上」を満たしません。 休息期間ではなく、勤務の途中の休憩として扱われます。

6:00 – 21:00

1つの勤務で、拘束時間は15時間

つまりこの日は6:00〜21:00の1つの勤務で、拘束時間は15時間、1日の上限に達しています。 点呼の記録を2つに分けても、拘束時間が2つに分かれるわけではありません。 分けて見てしまうと「6時間の勤務と7時間半の勤務」に見えて、拘束時間の超過に気づけなくなります。

見かけ上の勤務

6h + 7.5h

実際の拘束時間

15h(1日の上限)

1時間でも2時間でも、3時間に満たない休みは何度入れても休息期間にはなりません。休憩をしっかり取ることは大切ですが、それは休息期間とは別のものです。

VALID CASE

分割休息として成り立つ例

時刻内容
5:00〜13:00勤務
13:00〜17:00休息 4時間(1回目)
17:00〜21:00勤務
21:00〜翌3:00休息 6時間(2回目)

1回目の休息

4h

2回目の休息

6h

合計(2分割)

10h

1回目4時間・2回目6時間で、いずれも3時間以上、合計10時間となり、2分割の条件を満たします。

FERRY

3. フェリーに乗船する場合

長距離の運行でフェリーを使う場合、乗船している時間の扱いは次のとおりです。

RULE 01

フェリーの乗船時間は、原則として休息期間として扱う

乗船中は運転も荷役もしないため、拘束時間ではなく休息期間として扱える、という考え方です。

RULE 02

差し引いたあとの休息期間には下限がある

休息期間から乗船時間を差し引くことができるが、差し引いたあとの休息期間は、フェリーを下船してから勤務を終えるまでの時間の2分の1を下回ってはならない。

RULE 03

乗船時間が8時間を超える場合

原則として下船時刻から次の勤務が始まる。

例

フェリーに6時間乗船し、下船後4時間運転して勤務を終えた場合で考えます (勤務終了後に必要な休息期間を、最低ラインの9時間とした例です)。

CALCULATION — 乗船6時間・下船後4時間

01

乗船時間6時間を差し引くと、勤務終了後の休息期間は9時間 − 6時間 = 3時間

02

下船から勤務終了までは4時間なので、その2分の1は4時間 ÷ 2 = 2時間

03

3時間は2時間を下回っていないので、勤務終了後の休息期間は3時間でよい

乗船8時間の場合 — 2時間の休息期間が必要

これが乗船8時間の場合、差し引くと1時間になりますが、 下船から勤務終了まで(4時間)の2分の1=2時間を下回るため、2時間の休息期間が必要です。 乗船時間が8時間を超えるなら、そもそも下船時刻から次の勤務が始まる扱いになります。

フェリーの時間を休息期間として正しく扱えば、拘束時間を必要以上に長く数えずに済みます。 逆に、乗船時間をそのまま拘束時間に入れてしまうと、実態より厳しい数字になってしまいます。

EXCEPTIONS
OTHER EXCEPTIONS

4. そのほかの特例

TWO DRIVERS

2人乗務

運転者が同時に1台に2人以上乗務する場合

  • +身体を伸ばして休息できる設備があれば、拘束時間を20時間まで延長、休息期間を4時間まで短縮できる
  • +車両内ベッド(長さ198cm以上・幅80cm以上の平面で、走行中の衝撃が緩和されるもの)があれば拘束時間を24時間まで延長できる(運行終了後に継続11時間以上の休息が必要)
  • +さらに8時間以上の仮眠を与える場合は28時間まで延長できる

ALTERNATE DAY

隔日勤務

業務の必要上やむを得ない場合

  • +2暦日の拘束時間は21時間、休息期間は20時間
  • +仮眠施設で夜間4時間以上の仮眠を与える場合は、2暦日の拘束時間を24時間まで延長できる(2週間に3回まで)
  • +2週間の拘束時間は126時間(21時間×6勤務)を超えられない

LONG DISTANCE

宿泊を伴う長距離貨物運送

1週間の運行がすべて長距離(1運行の走行距離が450km以上)で、休息期間が住所地以外の場所になる場合

  • +1日の拘束時間を16時間まで延長できる(週2回まで)
  • +休息期間を継続8時間以上とできる(週2回まで)
  • +休息期間のいずれかが9時間を下回る場合は、運行終了後に継続12時間以上の休息期間が必要

UNFORESEEN EVENTS

予期し得ない事象

車両の故障、フェリーの欠航、災害や事故による通行止め・渋滞、異常気象など

  • +予期し得ない事象への対応時間は、1日の拘束時間・運転時間(2日平均)・連続運転時間から除くことができる
  • +ただし運転日報の記録に加え、公的機関のホームページ情報など客観的な記録が必要
  • +勤務終了後は通常どおりの休息期間(継続11時間を基本・9時間を下回らない)を与える

どの特例も、「使える条件」と「使ったあとに必要な休息」がセットになっています。条件だけを見て延長し、そのあとの休息を忘れてしまうのが、 もっとも起こりやすい失敗です。

RECORDS

5. 記録から確かめる

拘束時間と休息期間を正しく数えるには、勤務がいつ始まり、いつ終わったかの記録が欠かせません。点呼の記録、デジタコの記録、運転日報は、そのための材料です。

当社の点呼記録の仕組みでも、乗務前点呼から乗務後点呼までを1つの勤務として並べ、 休息期間と拘束時間の目安を出しています。ただし点呼の時刻はあくまで目安です。 分割休息に当たるのか、休息期間が足りていないのかの最終的な判断は、 運行の実態を踏まえて事業者さまに行っていただくものです。

POINT

運行の途中で点呼を行った場合は、乗務前点呼・乗務後点呼とは区別して記録しておくと、 勤務の区切りを正しく読み取れます。

LOGI-CAL
FREE TOOL

6. 拘束時間・休息期間の計算は「LOGI-CAL」で

LOGI-CAL

LABOR MANAGEMENT

分割休息やフェリーの差し引きまで含めて、毎日の拘束時間・休息期間を手で計算するのは大変です。

当社が提供するクラウド型の物流ツール「LOGI-CAL(ロジカル)」の労務管理では、乗務員ごとの勤務(出勤・退勤)を入力するだけで、 改善基準告示に沿って拘束時間・休息期間を計算し、基準を超えた勤務を自動で知らせます。分割休息やフェリーの乗船時間も入力でき、休息期間として差し引いて計算します。

無料でご利用いただけますので、ぜひお試しください。

SUMMARY

まとめ

  • +基本は、1日の拘束時間13時間以内(上限15時間)、休息期間は継続11時間を基本・9時間を下回らない
  • +分割休息は、継続9時間が困難な場合の特例。1回3時間以上、2分割で合計10時間・3分割で合計12時間以上、1か月程度で全勤務回数の2分の1まで
  • +3時間未満の休みは休息期間にならない。点呼を入れ直しても勤務は1つのままで、拘束時間は通しで数える
  • +フェリーの乗船時間は原則として休息期間。差し引いたあとの休息は、下船から勤務終了までの2分の1を下回らない。乗船8時間超なら下船時刻から次の勤務
  • +2人乗務・隔日勤務・宿泊を伴う長距離・予期し得ない事象にも、それぞれ条件と、使ったあとに必要な休息がある

点呼の記録の付け方や、拘束時間・休息期間の確認でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。

SOURCE

  • 厚生労働省・国土交通省「トラック運転者の改善基準告示が改正されています!」(2024年12月版)
  • 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(令和4年厚生労働省告示第367号による改正)
CONSULT

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新生物流は、事業者間遠隔点呼で毎晩さまざまな運送会社さまの点呼を行っています。 点呼の記録の付け方や、拘束時間・休息期間の確認でお困りのことがあれば、ご相談いただけます。

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