COLUMN
コラム
燃料サーチャージ、
もう先送りできない
物流改正法の契約巻き直しで、今やるしかない
2026年2月末、イラン情勢の緊迫化によりホルムズ海峡が事実上封鎖。 軽油価格はわずか2週間で30円以上急騰し、タンクローリー販売の停止・制限まで発生しています。 こうした中、3月27日には国土交通大臣・中小企業庁長官・公正取引委員会委員長の3者連名で燃料サーチャージ制の導入を求める異例の要請が発出されました。 2024年4月の物流改正法で契約の巻き直しが避けられない今、 燃料サーチャージの導入はもう先送りできません。
数字で見る、燃料サーチャージの危機
軽油価格(2026年3月16日時点)
ホルムズ海峡危機前の146.6円/Lから約2週間で30円以上の急騰
標準的運賃の燃料基準値(完全収受の場合)
標準的運賃を完全に収受できていない場合は100円/Lから適用も可能
トラック運送業の燃料費転嫁率
全業種中最下位。全産業平均53.5%を大きく下回る
赤字転落の試算
燃料費3割上昇で営業利益の8割が消失(帝国データバンク)
TIMELINE
制度の動き
物流関連2法改正。標準的運賃の告示改定、書面交付義務化の流れが始まる
イラン情勢の緊迫化によりホルムズ海峡が事実上封鎖。WTI原油は67ドルから120ドルに急騰、軽油価格も2週間で30円超の上昇
停戦合意・海峡封鎖解除表明も、通航量は回復しきれず。今後も原油100〜150ドルのリスクが残る
発荷主のトラック運送契約が中小受託取引適正化法(取適法)の適用対象に
国交大臣・中小企業庁長官・公取委委員長が3者連名で燃料サーチャージ導入を要請
改正物流効率化法の第2弾施行。すべての運送契約で書面交付が義務化
なぜ今が「チャンス」なのか
2024年4月の物流改正法で書面交付が義務化され、すべての運送契約が巻き直しの対象に。 そしてこの改正への対応なしには適正化2法の要件も満たせない。 荷主も交渉のテーブルに着かざるを得ない——この環境は、今しかありません。
2024年の物流改正法で、契約巻き直しが必須に
2024年4月に改正された物流関連2法により、すべての運送契約で書面交付が義務化されました。荷主も契約条件を整理し直す必要があり、双方が契約書を開くこのタイミングが、燃料サーチャージを盛り込む最大の機会です。
物流改正法の対策なしに、適正化2法には対応できない
物流改正法への対応(書面交付・附帯作業料の明記等)ができていなければ、トラック運送事業適正化2法の要件も満たせません。契約の巻き直しは避けられない——だからこそ、同時に燃料サーチャージ条項を入れるべきです。
基準値は自社の状況に合わせて選べる
標準的運賃を完全に収受できている事業者は120円/Lを基準値に。まだ収受できていない事業者は100円/Lからの適用も可能です。自社の状況に合わせた現実的な設定ができます。
拒否すれば法令違反のリスクがある
政府は明確に「協議なく従来通りの運賃据え置きは、独占禁止法・下請取引法違反のおそれがある」と警告。国土交通省による働きかけ・勧告の対象になります。
CONTRACT
契約書に盛り込むべき5項目
「発動条件」「計算方法」「参照データ」を契約時点で合意しておけば、 価格変動のたびに交渉し直す必要がなくなります。
BASE
基準燃料価格
標準的運賃を完全収受できている場合は120円/L、収受できていない場合は100円/Lを基準値に設定可能。自社の運賃収受状況に応じて選択する。
TRIGGER
適用条件(発動トリガー)
基準価格から一定幅(例:5円/L)以上変動した場合に自動発動。上昇・下落の双方向に適用するのが公平。
FORMULA
計算方法
サーチャージ額の算出式を契約書に明記。「(実勢価格 − 基準価格)÷ 基準価格 × 燃料比率 × 運賃」など。
CYCLE
見直し頻度
月次 or 四半期ごとの価格見直しサイクルを設定。都度交渉が不要になり、双方の事務負担を軽減。
SOURCE
参照価格
資源エネルギー庁の「石油製品小売市況調査」など、客観的に検証可能な公表データを指定する。
導入しなかった場合のリスク
| 項目 | サーチャージなし | サーチャージ導入 |
|---|---|---|
| 利益の圧迫 | 燃料費3割上昇で営業利益の8割が消失 | 価格変動を自動で運賃に反映 |
| 交渉の硬直化 | 値上がりのたびに都度交渉。転嫁が後手に | 事前合意のルールで自動適用 |
| ドライバー離れ | 待遇改善の原資を確保できず人材流出 | 適正な収益で待遇改善が可能に |
| 法令違反リスク | 標準的運賃を下回る契約は物流Gメンの指導対象 | 告示に基づく透明な価格設定 |
ACTION
今すぐやるべき3つのステップ
現在の契約書を棚卸しする
- +燃料サーチャージ条項は入っているか?
- +附帯作業料は分離明記されているか?
- +書面交付義務に対応した形式になっているか?
燃料サーチャージの基準を設計する
- +基準価格を何円に設定するか
- +変動幅のトリガーをどこに置くか
- +見直しサイクルを月次にするか四半期にするか
契約巻き直しの際に荷主に提案する
- +物流改正法の契約見直し義務を根拠に切り出す
- +標準的運賃の告示と政府要請を資料として提示する
- +「法令遵守のための対応」として提案するのがポイント
一番やっかいなのは「計算」
燃料サーチャージを導入したとして、実際に一番大変なのは、案件ごとの金額計算です。
運んだ距離に応じて1件1件サーチャージ額を出す—— これを毎月の請求で手作業でやるのは、正直かなり骨が折れます。 結局やりきれずに制度が形骸化する、というのがよくあるパターンです。
だからこそ、DX化するしかありません。
STEP 01
住所を入れるだけで距離を自動計算
Googleマップの地図機能を組み込んだシステムで、 出発地と届け先の住所を入力するだけで配送距離を自動で測定します。 手作業で距離を調べる必要はありません。
STEP 02
届出済みの運賃表をもとに自動でサーチャージ額を算出
測定した距離をもとに、国交省に届け出ている運賃表の計算ルールを自動で当てはめます。 距離帯・車格・割増条件——すべてシステムが判定するので、 計算ミスや担当者ごとのバラつきがなくなります。
STEP 03
売上管理にサーチャージを自動で上乗せ
売上管理はどの企業もやっているはず。 そこに算出された燃料サーチャージ額を自動で上乗せして反映します。住所を入力するだけで、燃料サーチャージが計算され、請求に反映される。これが当社が実現するDXです。
POINT
契約書に「配送距離はGoogleマップの算出距離に準ずる」と 明記しておくことをお勧めします。 距離の根拠を双方で事前に合意しておけば、 「うちの計算では距離が違う」といった無駄なトラブルを防げます。 誰でも確認できる客観的な基準を使うことが、スムーズな運用の鍵です。
まずは簡易的に燃料サーチャージを計算してみたい方はこちら
燃料サーチャージ計算ツール(LOGI-CAL)SUMMARY
まとめ
「燃料が上がったから値上げしたい」では交渉が難しくても、「法律が変わったから契約を見直したい」なら話は別です。
荷主にも契約見直しの義務がある。政府が3者連名で導入を要請している。 拒否は法令違反のリスク。制度の追い風がこれだけ揃うタイミングは、今しかありません。
燃料サーチャージは「値上げ交渉」ではなく、「変動に対応するルール作り」です。 価格が下がれば荷主にも還元される、公平な仕組み。 この契約巻き直しの機会を、ぜひ活かしてください。
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REFERENCES


